社内報の企画を考えるとき「同じような企画の繰り返し」と感じることはありませんか。そんなとき、社内の「課題」に目を向けてみると、新たな企画の種が見つかることがあります。
社内報は社内の情報を共有し、社員に経営理念やビジョンを浸透させる重要なツールです。しかし、単なる情報伝達のツールというだけでなく、会社の悩みや働きづらさを解消するための「課題解決メディア」として活用することもできます。
今回は、具体例を交えながら「課題から逆算して企画をつくる方法」を紹介します。初めて社内報を担当する方にも、マンネリを感じている方も、ぜひ参考にしてください。

課題から逆算すると、企画は“社内に刺さる”
朝礼や会議などで、上司がよく口にしている言葉はありませんか。ここに、社内で本当に困っているテーマが隠れている可能性があります。よく聞かれる課題として、以下のようなものが挙げられます。
・若手社員が定着しない
・部署間の理解が進まない
・ミスの再発が防げない
・管理職が忙しく、育成に時間が割けない
これらは全て企画のテーマに変換できます。
<事例① 若手の離職対策>
課題:配属後3~6カ月で若手が辞めてしまう
●企画例
・「新入社員フォローの現場」を紹介する特集
・若手が知りたい「仕事の進め方の基本」を図解で紹介
・「上司の失敗談」を共有するコーナー
上司のリアルな経験談は、若手社員が安心しやすく反響が大きい企画のひとつです。
簡単なヒアリングで“隠れた課題”が見つかる
アンケートを全社的に実施するのは大変ですが、部署ごとに数名へヒアリングをするだけでも企画のヒントが集まることがあります。
例えば
営業「製造の事情がわからないと説明しづらい」
製造「営業がどんな提案をしているのか知らない」
総務「手続きが複雑だという声は聞くが、状況がよくわからない」
これらのコメントからは部署間の理解不足という課題が浮かび上がります。
<事例②:部署理解を深める>
企画例:
・他部署との関係の中で「助かっていること」に焦点を当てた紹介をする
・「1日の仕事ルーティン」を写真で可視化
・「他部署に聞いてみたかったこと」Q&A企画
相手部署の事情がわかるというだけで、社内の会話が増え、摩擦が減ったケースもあります。
広報担当者が知らない“社内の宝”がネタになる
広報担当者でも意外と把握していない制度や活動を社内報で取り上げ、社内への周知につなげましょう。
<事例③:埋もれていた福利厚生を企画化>
課題:福利厚生があるのに利用が進まない
企画例:
・福利厚生の使い方をイラストで紹介
・実際に利用した社員からのコメントを紹介
利用者のリアルな声を載せることで、制度が一気に身近なものになります。
<事例④:現場の小さな改善を紹介>
課題:社内で埋もれてしまいがちな改善活動のアピール
企画例:
・「現場のミニ改善10選」
・改善のビフォーアフターの写真を比較
「現場の声が取り上げられた」と実感できるため、社内報への協力が得やすくなるというメリットもあります。
言いにくい課題こそ、社内報が活躍する
会議では言いづらいテーマも、切り口や見せ方を工夫し柔らかく扱うことができます。
<事例⑦:小さなトラブルやヒヤリを見逃さない>
課題: 共有するほどでもないと思ってしまい対策が後手になる
企画例:
- 匿名で投稿できる「今月のヒヤッとメモ」
- 「同じ失敗を繰り返さないための3つのポイント」を現場チームが解説
- トラブルの未然防止につながった取り組みを紹介
問題提起ではなく「改善のヒント」として掲載することで、組織全体の安全意識が自然と高まります。

社内報を「お知らせを載せる媒体」と捉えると、どうしても企画がマンネリ化します。しかし視点を変えて「課題を見える化し、解決につなげる社内のナビゲーション」と捉えると、企画の幅は一気に広がります。
社内の困りごとを拾い上げ、読者に寄り添いながら、会社全体の前向きな変化につなげていく、そんな社内報を作るためのヒントとして、今回の企画術をぜひ活用してみてください。
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