LGBTフレンドリーな企画でエンゲージメントを向上!

社内報担当者の皆様、こんにちは。今回は社会的に注目された出来事をもとに、社内報のコンテンツとして企画する方法をお伝えします。

 

トランスジェンダー職員へのトイレ使用制限が違法に!

先月、経済産業省に勤めるトランスジェンダーの職員が、職場の女性用トイレの使用を制限されているのは不当だとして国を訴えた裁判で、最高裁判所は国の対応は違法とする判決を出しました。トランスジェンダーとは「性的マイノリティ」の総称のひとつで、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字)の「T」に該当します。性同一性障害者のうち解剖学上の性とは逆の性で社会生活を行いますが、外科的手術までは望まない人のことをいいます。

原告の職員は、上司から「男に戻ったほうがいい」などの数々の心ない言葉を投げられ、精神的に追いつめられ、長期休暇の取得を余儀なくされたようです。この上司の発言は、個人のアイデンティティーや人格を否定する、差別的な言動であったのは間違いありません。なお、性的マイノリティーの人たちの職場環境に関する訴訟で、最高裁が判断を示したのは、この裁判が初めてだそうです。

裁判では、社内に違和感を抱く従業員がいる場合、トランスジェンダーへの理解が十分でないことに対して、研修を行うなど企業としての取り組みを求める声も裁判官より出されました。この判決が他の公的機関や企業、そして他の問題への対応のあり方にも影響を与えていくことが想定されます。

「弊社にはLGBT当事者がいないのでこの問題は関係ない」ではなく、誰もが働きやすい職場環境づくりという点において、今後どう取り組むかを考えていく必要があります。

 

職場をLGBTフレンドリーにするメリット

職場において、LGBTフレンドリーにするメリットとしては、下記3点が挙げられます。


LGBT当事者が働きやすくなり、優秀な社員を採用できる
差別的な言動によって当事者が心身に支障をきたすことがなくなり、離職率を下げることにつながります。また、LGBTの方が安心して求人に応募できます。

従業員のエンゲージメントが向上し、組織が活性化する
多様性を認める職場環境が生まれ、従業員のエンゲージメントが向上します。それによって、組織が活性し、当事者以外でも優秀な人材を確保しやすくなります。
社会における自社のイメージが向上する
性的マイノリティへの配慮を十分に行っている企業は残念ながらまだ少数派なので、社会に対して人権尊重とコンプライアンス遵守の面でもポジティブなイメージを与えることができます。

 

そこで、社内報の出番です!
性的マイノリティ問題を取り上げよう

企業としても今後取り組みが求められるこの問題、まずは社内報で紹介する特集を組んでみてはいかがでしょう。ただ出来事として紹介するのではなく、問題への意識や取り組みについて自社の状況を認識することから始めてみると、取り組みやすいと思います。


例えば、従業員に性的マイノリティに対する意識や関心についてアンケートを行い、その結果を表やグラフなどを使って「見える化」します。その際、アンケートで取った意見をコメントとして掲載したいもの。

ただし、アンケート対象者がLGBT当事者である可能性があるため、アンケートは匿名にするほうが良いでしょう。当事者から本音のコメントがいただける可能性もあります。万一、記名ありで取る場合はとてもデリケートな問題であり、要配慮個人情報を含んでいるので、取り扱いには最大限の配慮が必要です。

さらには、自社の経営トップが先進的な取り組みについて高い問題意識をお持ちの場合、従業員エンゲージメントや組織活性化を目指すための重要課題として、思い切ってトップへインタビューを申し込んでみてはいかがでしょうか。
そうした大胆なコンテンツを企画として提案できるのは、社内報担当者ならではかもしれません。機会があれば、ぜひ検討してみてください。

 

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【執筆者】

ディレクター 西田
社内報は、トップの声を従業員に伝える役割もありますが、従業員の本音をトップに届けたり、従業員の問題意識を喚起したりすることも重要な役割。ときには社内ジャーナリストとなり、鋭い視点と使命感でコンテンツを提案できるといいですね。大変ですが、やりがいも倍増すること間違いなしです。