なぜ「対談記事」は読者を惹きつけるのか

社内報に限らず、雑誌などの媒体では、対談や座談会は定番の企画です。冊子の巻頭に掲載されることも多いですが、なぜそれほど、対談記事は重宝される企画なのでしょうか。

それには、明確な理由があります。

ここでは、対談記事のメリットと、その活用方法をおさらいしましょう。

 

普段は文章を読まない人にも。対談記事が読者を惹きつけ、重宝される理由

・話し言葉は読みやすい

対談記事の特徴のひとつとして、文体が話し言葉になる、という点が挙げられます。

堅めの文章がしばしば並ぶ社内報においても、話し言葉の文章は、誰にとっても読みやすいものです。冊子を開いたとき目に入った誌面から、対談参加者の声が聞こえる、と思ってもらえれば、一気に読者を惹きつけられます。

 

・話している様子を映像的にイメージできる

対談記事はほとんどの場合、当日の写真を掲載しており、対談が行われた風景が読者に伝わりやすくなっています。話し手が語る表情や、場の雰囲気といった情報も一緒に受け取ることで、読者は参加者同士の会話の様子と情景をイメージしながら記事を読み進めることができます。すなわち、対談記事は普通の記事に比べて、より具体的にイメージし、理解することができるのです。文章だけでは想像で補うしかありませんが、写真と文章がしっかり連動する対談記事では、このように確実に文章に対する読者の理解度を上げられるメリットがあります。

 

・デザインで誌面に表情をつけやすい

参加者の写真の載せ方ひとつをとっても、多彩なデザインの可能性があります。記事冒頭では参加者の集合写真を大きく掲載することが定番になっています。文中でも、参加者の個別写真をそれぞれ掲載してもいいですし、参加者同士が話の中で笑い合っている様子を収めてもよいでしょう。通常の寄稿原稿のページよりも、そのようにデザインで工夫できる可能性が大きく広がっているので、デザイン次第で読者に強い印象を与えやすくなるのです。

 

また、ご担当者さまの目線に立っても、メリットがあります。

 

・文章が苦手でも、話すだけなら参加のハードルを下げられる

「社内報に文章を寄稿してください」とお願いしても、なかなか原稿が集まらない……。そんな経験をされたご担当者さまも多いと思います。対談・座談会はその点、参加者が集まりさえすれば確実に原稿(のもとになる内容)は集まります。社員の方にしても、執筆するより話す方が楽、と思っているケースがあります。実際の会話内容は支離滅裂になるケースもあるので、原稿整理の手間はかかりますが、社員の社内報参加率を上げるのにも、一役買ってくれるでしょう。

 

いかがでしょうか。このような特徴やメリットが、誌面を読む側にも作る側にも有益に働いてくれるのが、対談・座談会記事です。

反対に言えば、このような特徴を押さえておけば、それに沿って対談記事を構成していくことも容易になります。

 

 

チェック! 人を惹きつける対談記事に仕上がっていますか?

・話し言葉を使って、読みやすい文章になっているか?

ホントですか!」「そうなんですよね」などの口語的な表現も、思い切って残しましょう。その方が会話のダイナミズムが伝わり、対談記事らしくなります。

 

・当日の対談の様子が、映像的に頭に浮かぶような文章になっているか?

参加者が笑ったときの台詞に(笑)と付けたり、考え込んで沈黙しているときの台詞には「……」を付けたりするだけで、当日の様子を思い描きやすくなります。

 

・参加者の表情が伝わる写真を使い、ダイナミックな誌面になっているか?

第一印象で読者を惹きつけてこその対談記事です。いつもより写真を大きく掲載するなど、大胆なレイアウトを心がけましょう。

 

・実際の会話の支離滅裂さを調整して、一本の筋が通った原稿になっているか?

しどろもどろな会話は、意味が通るように整理しましょう。「許される」口語的な表現と「許されない」口語的な表現の境界線は、「しどろもどろではないか」「意味が伝わらなくなっていないか」。このあたりにあります。

 

ここまで来れば、対談記事を実際に作成するイメージも湧いてくるのではないかと思います。

最後に「いざ対談を!」と思ってくださったご担当者さまのために、いくつか対談のネタをご紹介します。

 

 

参加者の組み合わせは無限大。とびきり目立つ対談記事を

・若手社員の対談(座談会)

若手社員を集め、業務で困っていることや、難しいと感じていることを本音で語ってもらいます。記事を通して先輩社員たちに、若手社員をフォローする際のポイントを訴求することができます。

 

・社長×他社社長or専門家との対談

トップ対談は、記事として非常に重みが出ます。読みごたえも抜群になること請け合いです。会社で取り組んでいる分野の専門家を招聘すれば、多くの社員の関心を集められるでしょう。

 

・永年勤続社員×若手社員

若手社員にインタビュアー役を務めてもらい、ベテランに会社の歴史を語ってもらいましょう。沿革には載らないようにエピソードを聞き出し、自社の社風を再認識できるようなページとなれば、読み応えも強くなります。

 

・女性管理職同士or女性管理職と女性若手社員

女性社員の一層の活躍推進は、話題性の高いテーマです。女性同士の対談・座談会を設け、会社にとっての女性活躍の在り方や、女性のキャリア形成について改めて見つめ直すのはいかがでしょうか。

 

 

対談記事は、参加者の調整や、原稿の整理など、簡単ではない面もあります。しかし、対談記事ならではの、人を惹きつける強い魅力があることは確かです。

上記のような点に留意しつつ、御社独自の対談記事を作っていきましょう!

 

 

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ディレクター:今枝
対談・座談会記事が好きです。どんな雑誌でも、特集に対談や座談会があると、つい最初に読んでしまいます。コロナも下火になり、対面で語り合う素敵な対談・座談会の企画が、たくさん生まれるといいなと思います。