新聞記事を著作物として適切に使用できていますか?

新聞記事に、自社の商品が紹介された! 自社の業界にとって重大なニュースが載っている!

これらの記事を、社内でも共有したいというケースはありませんか。そんなときに注意しなければならないのが著作権です。

新聞記事は記者が執筆した著作物で、新聞社に著作権があります。皆さんは社内で適切に使用できていますか。

 

社内で新聞を使用するときの著作権って?

次のうち、新聞記事の著作物使用申請をしなければならないものはどれでしょうか。

1.社内報に記事として掲載

2.記事をコピーして配布

3.記事を大きくパネルに印刷して1枚だけ展示

正解は、すべて申請しなくてはいけません。

法律では私的使用のための複製は認められていますが、これはあくまで「家庭内に準じる範囲での私的な使用」に限定されたものです。

企業・団体内でその業務に関連して著作物をコピーしたり、PDF化など電磁的に複製したりすることは「私的使用」の範囲には入らず、たとえ1枚のコピーでも著作権者の承諾が必要となります。

 

日本複製権センターとの契約で問題をクリアに

記事をコピーして配布する度に新聞社に使用申請をするのは手間がかかります。しかし日本複製権センターの年間使用契約を結ぶことで、下記の範囲内で新聞記事のコピーやPDF化に関する著作権の問題をクリアすることができます。

(1)1回につき20部以内の紙へのコピー

(2)紙面をPDFなどに電磁化し、同じ会社内で30人程度で共有

(3)会議用など、企業・団体の内部で使用するもの

(4)コピーの対象は、新聞著作権協議会加盟の新聞

この範囲を超える場合は、各新聞社へ問い合わせる必要があります。

また、使用媒体が書籍や広告、webなど、それぞれによって使用料が変わることがあります。各新聞社によって申請書類のフォーマットがホームページに上がっているので、そちらを適切に使用しましょう。

 

著作物の二次使用を活用しよう!

新聞著作権協議会のホームページでは、記事の利用について次のように記載しています。

新聞社は、報道機関として、記事を1人でも多くの方々に目にしていただくことが大切である、と考えています。(中略)新聞記事について「自由に利用してよいものだ」との誤った観念が広まれば、企業活動に影響を及ぼし、ひいては報道機関としての公共的な使命が十分に果たせなくなることにもなりかねません。

新聞記事に限らず、書籍内の写真やイラストなどの著作物を二次使用する際には、著作者に許諾を得ることが必要です。申請の手続きの煩雑さに億劫になっている方もいるかもしれません。しかし、著作物の利用をきちんと解決しておくことは、企業の信頼につながる重要なコンプライアンス活動の一環です。

社内報に新聞記事を掲載することで説得力が増したり、著名な画家の絵を表紙にし、目を惹くビジュアルで手に取る方が増えたりするかもしれません。

著作物の二次使用を適切に対処し、社内の広報物に活用してみてはいかがでしょうか。


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執筆者:ディレクター 大原

干しいもが目に入ると必ず買って食べています。やわらかめが好きです。