読者への響き方を意識した「コピーワーク」とは?

社内報ご担当の皆さまのお悩みとして、「なかなか社員に思いが伝わらない」という声をしばしば耳にします。社内報を通して「~しましょう!」「目標は○○です!」と毎号喚起しているのに、社内の温度感は変わらないまま…。そんなときは伝え方、コピーワークに変化をつけてみましょう。

 

 

端的に伝えるだけでは、伝わらないこともある?

情報を端的に伝えることを「善」として、ついついハマる落とし穴がモノゴトの機能面だけを伝えている紙面です。例えば、

 

「便利な設備を導入しました!業務効率を30%改善します!やろう、KAIZEN!」

 

確かに、言っていること端的で何一つ間違っていません。KAIZENしなければいけないのです。会社にとって必要なことです。それは分かります。

ここで思い出してみてください。ご両親や先生に「勉強しよう!宿題をやろう!良い成績をとろう!」と言われたあの日のことを…。この時も、やはり先生や両親は何も間違っていません。それでも、この言葉を素直に受け止めて勉強する子供は少数派でしょう。なぜなら、この伝え方では受け取り手は「勉強しなければいけない」としか思わず、「勉強がしたい!」とまでモチベーションが上がることはないからです。

 

では、どんな伝え方をするべきなのでしょうか?

 

やらなければいないのは分かるけど、先のことを考えると気が重いんだよなぁ…。

 

「何を」「どうやって」よりも「なぜやるのか」「どのような信念を持っているのか」を語る

「良い成績をとるために勉強をしよう」では多くの学生に響かないのと同じで、「売上向上のために効率化を図ろう」では、従業員の心の根本には伝わりません。しかし…

 

「誰もが笑顔で働ける社会を実現し、
その社会で顧客に最も愛される会社になる」

 

という共感できる理由と信念を最初に語ることで、その後に続く会社として取り組まなくてはいけないことが読者に響きやすくなるのです。「何のためにやるのか」「なぜやるのか」が理解できると、取り組む姿勢が変わってくるはずです。

ビジョンの共有はチームの連携強化にも効果を発揮します。

 

 

抽象的な表現は、本当に避けるべきなのか?

ビジョンを語る時、どうしても表現が抽象的になりがちです。特に、ビジネスシーンにおいては「具体的には?」「どんなメリットが?」と聞かれることが多いため、抽象的な表現を避けるようにします。しかし、人を動かすためには抽象的であってもビジョンを語ることが有効に機能します。

 

かつてキング牧師は「I have a dream!」と夢だけを大きく語りましたが「えー、人種差別をなくすにはこの方法が有効だと考えております。まずはお手元のエビデンスをご覧ください」などと手段を語ることはありませんでした。それでも、今なお多くの人の心に突き刺さり、歴史に残るスピーチとして語り継がれています。

 

また、かの有名テニス選手は「君ならやれる!君は絶対大丈夫!僕はそう信じている!」と熱い語りで人気を博しましたが、具体的な手段は提示していません。それでも、言われた側としてはやる気が湧いてくるものです。

 

頑張れ!ではなく「できる!」という言い方だと、やってやる!という気になりますよね。

 

共通していることは、抽象的であっても「私が信じている」ということを強い根拠として示しているということです。社内報も同様、「会社が信じていること」をまずは従業員の方に伝えましょう。今までとは違った響き方で受け止められるはずです。

(関連記事)

社内報 イマドキ20代とちゃんと向き合ってる?【企画有り】」

社内報 社内報を「広報」しよう

 

【執筆者】
ディレクター 水谷
「冷やし中華始めました」だけではなく「日本の夏にイノベーションを起こす」など、「何のために始めた冷やし中華なのか」を書くべき。

…とは限りません。コピーワークって難しいですね。