社内報 ヘイト・ハラスメント表現にご注意を

企業の不祥事や政治家のヘイト発言などのニュースが多く飛び交う昨今では、多くの方が企業のモラルを重要視するようになってきています。

SNSが浸透した今、ヘイト・ハラスメント表現を含んだ内容を問題視した社員がSNSにアップするなどで外部に流出する可能性が以前より高まってきています。「内部向けの社内報だから大丈夫」と思わずにヘイト・ハラスメント表現には特に注意しましょう。

今回はヘイト・ハラスメント表現とは一体どんなものなのか、また社内報で気をつけるべき点などをご紹介します。

社内報以外にも広報活動全般に同じ事が言えますので、ぜひご参考ください。

 

 

 

ヘイト表現(ヘイトスピーチ)とは

ヘイト表現(ヘイトスピーチ)とは、

特定の対象(人物や集団)に対する敵意や憎悪を、過激な表現を用いて直接に示す言動の総称 (新語時事用語辞典より抜粋)

とされています。

多くの場合、人種、国籍、社会的立場、宗教、LGBTなどの要素を持つマイノリティーに対する意識の現れから生まれると考えられています。

これらは使う側には差別意識がなくても、当事者にとっては重大な侮辱、精神的な苦痛、差別、いじめにつながることがありますので、使われた側の立場になって考えることが大切です。

しかし、差別語や不快用語とされているものの中には「知らなかった」と言う場合もあると思います。下記のハラスメント表現でもいくつかご紹介していますが、以前ご紹介した「記者ハンドブック」には差別語・不快用語が掲載されていますのでぜひ参考にしてみてください。

(過去記事)社内報制作で活用できる記者ハンドブックをご存じですか?

 

 

ハラスメント表現とは?

セクシュアルハラスメント(セクハラ)という言葉が一般したのは1980年代。現在ではハラスメントの中にも「パワーハラスメント」や「シルバーハラスメント」など、さまざまな種類が認識されるようになりました。

会社という同じコミュニティー内で発行する社内報だからこそ、古い社風感覚のまま知らず知らずのうちにハラスメント表現を使ってはいませんか?

今回は社内報で特に気をつけたいハラスメントについてご紹介します。

 

 

パワーハラスメント

パワーハラスメントとは職務上の地位や役職などの優位性を背景に、業務の範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えることです。

社内報の場合は特に残業を強要・推奨するような表現、社内報で特定の対象(社員なら文章を読めば個人を特定できるなど)に対しての叱責は絶対に避けましょう。

 

 

アルコールハラスメント

アルコールハラスメントとは飲酒にまつわるいやがらせこと。社内報では関係ないと思われるかもしれませんが、過去の功績やエピソードを紹介する記事などで「営業が飲みの席で成果を挙げた」などのエピソード紹介、昔の飲み席の思い出話などでお酒を飲めることへの賞賛・推奨が感じさせる表現は、飲めない方への配慮を欠く場合もありますので、程度よっては注意が必要です。

 

 

ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントとは「男性らしさ」「女性らしさ」を強要する行為です。

社内報ではよくある「人物紹介」で個人の人となりを紹介するような企画では、

・男性に対して、「男のくせに」「なよなよしている」「女々しい」

・女性に対して、「男勝りだ」「女流」「処女作品」「才色兼備」※特に女性に対しては男性側に対語のない表現は避けるようにしましょう。

これらの表現は男性優位社会を背景にした不適切表現とされています。男性にとっても女性にとっても失礼な表現ですので使わないようにしましょう。

 

 

テクノロジーハラスメント

テクノロジーハラスメントとはパソコンやスマートフォンなどのテクノロジーに詳しい人がそうでない人に対する嫌がらせです。

社内報ではあまり事例は見られませんが、「わざと難しく伝えている」と思われないためにも、テクノロジーに詳しくない方に分かるように専門用語ばかりを使った難しい表現にならないよう心掛けましょう。

 

 

エイジハラスメント

エイジハラスメントとは中高年の社員に年齢に関しての嫌がらせを行うことです。

間違っても「いい年」「もう年なんだから」などといった表現は社内報では使わないようにしましょう。また明確な理由や必要のない年齢制限を設ける企画なども避ける方がベターです。

 

 

マリッジハラスメント

マリッジハラスメントとは未婚者に対して結婚の圧力をかけたりいやがらせをする行為を指します。こちらも社員個人を紹介する企画などで「独身」「未婚」などの表現を安易に使用しないようにしましょう。本人が使うのは原則問題ありませんが、程度によっては他の結婚していない方が不快な思いをしないかの配慮も必要です。

 

 

マタニティーハラスメント

マタニティーハラスメントとは妊娠している、または出産した女性に対してのハラスメントです。社内報では「忙しいのに子供をつくって」などとも受け取れる表現や、子供をつくったことによる降格や不利益をにおわせるような表現を絶対にやめてください。

 

 

レイシャルハラスメント

レイシャルハラスメントとは人種差別的なハラスメントをいいます。聞き慣れない方もいるかもしれませんが、欧米ではセクハラのように非常に一般的なハラスメントとして認知されています。グローバル企業の社内報ご担当者さまは知っておくべきハラスメントの一つです。

社内報では外国人に対する偏見を含めた言い回しに注意しましょう。「インディアン嘘つかない」などの比喩的な表現も避けましょう。

また使ってしまいがちな表現は、下記のように直して伝えましょう。

・「外人」→「外国人」

・「帰化」・「帰化人」→「国籍取得」・「渡来人」

その他、「○○族」「○○部族」といった表現は原則避け、「○○人」「○○民系」「○○系」などに言い換えるようにしましょう。(例:「アイヌ人」→「アイヌ(民族)」)

(参考:記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集)

 

 

まとめ

ヘイト・ハラスメントは明確な定義が存在しないため、難しく感じられるかもしれません。

しかし大切なことは「制作した社内報が誰かを傷つける可能性がないか?」をしっかりと考えてみることです。

社内報はその他にも気をつけることがあって大変かもしれませんが、会社の信頼を守るため、何より誰かを傷つけてしまわないためにも、ぜひ今回ご紹介したポイントは気をつけていただきたいと思います。

 

 

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【執筆者】ディレクター 後藤

「気付かず差別用語を使っていた」なんてことありますよね?

この機会に一度見直してみましょう。